12.30

ヤマギシのお餅作り

 美里実顕地で、ヤマギシのお餅を作るようになって3回目の正月を迎えることになりました。

 今シーズンの正月用のもちつきは12月12日からはじめました。最初の週の三日は毎日80臼をつき、残りの週半分でパック詰めし、二週目は毎日100臼くらい搗いてパック詰めをしました。
 まだまだ至らない所は沢山あり、活用者の皆さんや、供給所の皆さんに申し訳なく思うことも多いのですが、ヤマギシのおもちを搗かせてもらえる喜びを伝えたいと思っています。

 普段のお餅製造は6名ほどでやっていますが、正月用はそんな訳にはいきません。
 12月16日、10時の製菓工場の2階の休憩室の入り口には13名分のスリッパがぬいでありました。美里の村人が入れ替わり立ち替り入りあって、内部川から来ている人もいます。
「なんでみんな来るんだろう?」とふと思ったのですが、皆、白い帽子に白衣とマスクをしているから、目だけキョロキョロさせながら、白い餅のパック詰めをしています。
 流れるような作業とはならなくて、なんとも家内工場的なヤボッたい感じの風景ですが、その中に次から次へとみんな入ってきます。「なんでやろ?なんで来るんやろ?」

─もしかして、このお餅をこの正月に食べてほしくて来るんだろうか?
─ひとりでも多くの人に、少しでも良い状態の、ほんとうにおいしいお餅を届けたい
そんな気持ちが、ここへ皆を寄せているように感じました。
 確かに、自分たちの力は未熟で、このもち米のもっている力を十二分に発揮させた餅とは言えないと思うけど、それでも皆の、ひとりでも多くの人に届けたいと思う気持ちをなんとか僕も届けたいと思いました。
 3年前、加賀実顕地がお餅の製造をやめると聞いたとき、
「活用者が正月からヤマギシのお餅が食べれないなんて、許されるわけはない。」
と漠然と思っていました。

 こうして正月から届けたいという心の詰まったお餅を届けられるなんて、とてもいい感じがします。
 大潟村の皆さんありがとう、一志の皆さんありがとう、農機具屋さんありがとう、田植え・除草・稲刈りをしてくれた皆さんありがとう、美里の皆さんありがとう、運輸部の皆さんありがとう、供給所の皆さんありがとう、活用者の皆さんありがとう、もっともっといっぱいのみなさんありがとう。

 皆さん、お餅いっぱい食べて下さい。
【美里実顕地 蔬菜部・お餅製造部 長谷川健司】

もち米は秋田県大潟村から豊里実顕地の精米所を経由してここ美里実顕地へ届けられる。


水切り後、蒸し行程へ


ヤマギシのお餅はせいろ蒸しで


杵つきもヤマギシのお餅の特徴のひとつ。